「栄光の架橋」を10倍楽しむために
読者数が100名を突破し、おかげさまでますます波に乗っている携帯メルマガ小説「栄光の架橋」。途中から配信登録をした読者の皆さんから「最初から読みたい!」というリクエストが多数届けられました。残念ながら、著者の方針として、この小説はバックナンバーを公開していません。それでも、皆さんの声に何とか応えたい。ということで、すでに配信された第10話までのあらすじを振り返りながら、ストーリーにちりばめられた受験ノウハウを公開することにしました。
「栄光の架橋の序盤を読み損ねた」方はその補完のために。「第1話から読んでます!」という方は復習のために。ぜひぜひご活用下さい。
別れ、そして出会い
ある日、長年交際を続けていた彼女に別れを告げられてしまった会計士受験生・ハル。彼は3度にわたり短答式試験に失敗した「落ちこぼれ」受験生であった。自分の不甲斐なさを思い知らされた突然の別れ。失意のどん底にあったハルを、友人のマサキはとあるパーティに誘った。それは、現役の会計士と受験生とが集う一大イベント。すべてに対して気力を失っていたハルであったが、そのパーティにて、公認会計士・徳山と運命的な出会いを果たす。
「君はいろんなことを、他人のせいにして生きている。」
ハルにとって徳山との出会いは、必ずしも心地よいものではなかったのかもしれない。人の心中を見抜く才能に長けている徳山は、にぎやかなパーティでひとり佇むハルに声をかける。不合格の連鎖にあえぐハルに、徳山が突如として突きつけたのは、「君は人間不信だ」という烙印であった。初対面にもかかわらずズケズケと人の心の中に踏み込んでくる徳山に対し、ハルは敵意すら抱いた。「君はいろんなことを、他人のせいにして生きてきているはずだ。君が短答式試験に落ちたことも、だ」徳山のある種残酷な、それでいて正鵠を射た発言に、ついに反撃の材料を失ったハル。
優しい笑顔とさわやかないでたちを持ちながら、時にシビアな発言をグサリと突き刺す徳山。ハルは恐る恐るながら、次第に徳山の信頼できる人間像に気づく。そして、自分の人間不信を自覚したハルに、徳山は合格のために必要なことを教えるために、徳山の経営する会計事務所で個人講義を行うことを約束する。
「知識と、スピード。それだけでは50点だ」
「合格のために必要なものを2つ、挙げてごらん」徳山がハルに課した最初の課題は、難関国家試験突破のためのノウハウにしては、驚くほど簡素なものだった。ハルは思案の末、「知識」「スピード」の2つを挙げるが、「なるほど…50点だ」と徳山に切り捨てられてしまう。徳山曰く、合格に必要なものは「方法論」と「精神論」。試験の突破に必要なのは、ただ試験時間に合格点を取るだけのノウハウではない。合格を目指すと決意したその日から、試験が終わる瞬間までの長丁場を、息切れせずに走りきるだけの精神力が不可欠だということであろう。
一朝一夕で身につけられない「精神力」を得るために、徳山が与えた課題を集約すれば、「まずは、人を信じることだ。」これに尽きよう。会計士試験の突破のために必要なものを思いつく限り挙げれば暇が無いが、それでも徳山は、何より先に「信じる」ことをハルに求めた。人間不信にあえぐハルにとって、自分を合格に導いてくれる周囲を信頼することが、何より優先されるべき課題であったためだろう。
机に向かって行う勉強を離れた実生活の中にも、受験のためのヒントは隠れている…そういわれたハルは、早速自分の「人間不信」を克服するための行動を起こした。それは、かっこ悪い別れ方をしてしまった彼女に対し、はっきりと思いを告げることであった…。不恰好ながらも過去を清算することに成功したハルは、今までの数々の失敗も、実は自分の意識しだいで成功に変えることができるものだったということ、もっといえば、次回の試験も自分の努力しだいで結果につなげることができる、ということに気づくのであった。
「君は…実はレベル1なんだよ」
合格に必要な「精神論」の手がかりをつかんだハルに、徳山は満を持して計算科目の学習法を伝授する。徳山いわく、計算科目のレベルは次の3つに分けられる(詳しくは、特集 計算科目の達人になるために 前編を参照)。
レベル1…日商1級未満レベル
レベル2…日商1級以上、会計士試験未満レベル
レベル3…会計士試験合格レベル
日商1級を取得したハルに対し、徳山は意外にも「君は…実はレベル1なんだよ」と告げる。たまたま出題された日商検定の本試験で合格点を取れるだけでは、レベル1から脱皮したことにはならない。機械的に「1日1問」をこなすのではなく、テキスト等に立ち返って会計処理をしっかりと頭に入れることが先決だ…。ハルが実践していた1日1問という学習法は、先人の学習法の「猿真似」に過ぎない。合格者は当然レベル3に到達した人たちであり、レベル1のハルに適合する勉強の仕方は、ほかにあったのである。
「成果が出ていないからといって、君が努力している事実は変わらない」
計算科目の正しい勉強法を教わり、少しずつ手ごたえをつかみつつあるハルであったが、その矢先、祖父が急逝してしまう。ハルの良き理解者であった祖父を失ったショックは大きかったが、祖父に孝行できなかったという思いが、ハルを机に向かわせていた。
祖父の死により疲弊していたのは、ハルだけではなかった。葬儀の手配に追われ、仕事も多忙を極めていたハルの父。ただ一人の実父を失いつつも、気丈に振舞うハルの母。不合格を繰り返してくすぶっているハルにとって、祖父がいなくなり、代わりに線香のにおいが立ち込める家庭は、ますます居心地が悪いものとなってしまった。
そんな中、ついにハルは父と衝突する。「頑張っている、だと?当たり前だろ、そんなことは。だったら結果を残してみなさい」会計士を志した当初はハルに賛同していた父も、年が経つにつれて息子の不甲斐なさをさげすむようになっている…ハルにはそう思えてならなかった。
築きかけた自信が大きく揺らいでしまったハルに、徳山はあるものを贈る。それは、徳山が受験生時代に書き溜めていた学習記録であった。
徳山の「学習記録」とは、「予定」を書き留めるスケジュール帳と異なり、勉強した「実績」を書き留めるものだ。本格的な学習を始めたが、まだ成果が目に見えてこないときや、壁にぶつかって思うように成績が伸びなくなるスランプの時期など、受験生が自信を失い、学習への意欲が低下する時期は多い。そんな時でも、毎日欠かさず学習記録をつけておくと、少なくとも自分が学習したことについての足跡を残すことができる。
父との衝突は、実は努力しているはずの自分を信じ切れなかった、ハル自身の脆さが生んだものだった。父の言葉に反応的に声を荒げてしまったことを後悔したハルは、「揺るがない」自分を確立すために、徳山に倣って学習記録をつけ始める…。
ハルの物語はまだ始まったばかり。
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- 投稿者:まーやん
- 日時:23:40