【特集 Jul 2007】 論文式試験直前・・・だからこそ語る「精神論」
まーやんが毎週配信しているメルマガ「頑張れ会計士受験生!会計士補が送る週刊メッセージ」は、おかげさまで累計部数1,700部を突破(7月12日時点)した。そのメルマガ第1号で紹介した「2つの車輪」という言葉を、もしかしたらご記憶の方もいらっしゃるかもしれない。
2つの車輪とはズバリ「方法論」と「精神論」。まーやんはその両者のバランスが不可欠であるという考えの下、方法論としての学習ノウハウ、精神論としてのモチベーション維持法をメルマガの中で順次紹介している。
7月になり、いよいよ2007年の試験も佳境。これからの時期、「方法論」も「精神論」も大事だということは当然の話であるが、特に注意を要するのが「精神論」である。mao特集第4弾は、試験直前特有の精神状態をいかに上手に乗り切るか?ということに焦点を当てて、皆さんのラストスパートを後押ししようと思う。
2004年夏 まーやんを襲った「悲劇」
まーやんは公認会計士2次試験(当時)に合格するまで、実に4年もの歳月を費やした。ためし受験を含めれば4回という受験経験は、決して「短期合格者」とは呼べないものである。
自己弁護するわけではないが、まーやんは当時通っていた専門学校の論文式試験の模擬試験で、4年間を通じてA判定以外をもらったことがない。それでも3回、不合格を経験してしまった。論文模試は一般的に「上位2割は安全圏」と言われるなか、このような現象を不思議に思う方も多いだろうが、実は決して珍しくはないことなのである。模試上位者が不合格になってしまう原因の1つが「模試直後の燃え尽き症候群」であり、もう1つが「本試験の緊張感に打ち勝てない」ことである。…本試験の緊張感。実はこれほど厄介なものはない。その最たる例が、他でもない、この特集を書き綴っているまーやんの身に降ってかかった「悲劇」であった。
2004年夏の本試験を前にして、まーやんは論文式試験でトップ10に入る成績をおさめた。自分も周囲も、「落ちるはずがない」と思っていた。特に監査論は得意科目。答練では殆ど3位以内につけるほど、得意な科目だった、その監査論が悲劇の科目と化した。
ご存知の通り、監査論は監査基準等の知識のほかに「記述スピード」も試される。瞬時に問題を読み、書くべき内容を想起して、規定の行数できっちり収まるように答案をすらすらと書く…この繰り返しで得点を積み上げる科目だ。
2004年の監査論は、その積み上げが難しい問題構成だった。問題用紙の表紙をめくると、実務的な問題が数多く並んでいた。その年に合格した受験生の多くは、「ちょっと考えてみたけど難しかったから、空欄にしてしまった」と後に語っていた。そして、後半の基本的な記述(不正と誤謬の違い、など)で書き漏らしをなくせば、合格点は十分に取れる…。積み上げではなく「割り切り」を要する問題が、2004年の監査論だったといえる。
しかし、「特に監査論は得意科目」という自分の驕りが裏目に出た。「何とかこの解答欄を埋めたい」と、教わってもいないような複雑な問題を前に試行錯誤を繰り返し、監査論の解答で最大のタブーとされる「書いては消し、書いては消し」の悪循環に陥った。
時間がない。でも書かなきゃ…正常な判断はすでにできないほど、疲労と緊張はピークに達していた(注:当時の監査論は全7科目のうち、5科目目の試験であった)。しかしある瞬間、自分が続けてきた「書いては消し、書いては消し」の作業が不毛の努力であったことにようやく気づき、「もうだめだ」と思ってしまった刹那、自分でも驚くような呼吸の亢進が起こり、体中の力がガクッと抜けた―――。憶えているのはそこまで。気がつけば、会計士試験の運営本部で、毛布をかけられて突っ伏している自分がいた…。
試験は当然不合格。実力とは全く関係のない部分で、合格の日取りが一気に1年遠のいた。自責の念にも駆られ、周囲にもそのことを責められ…人生でもっともキツイ時期を過ごした。そして本試験のときに襲ったものの正体が、俗に言う「パニック障害」の発作であることを知ったのは、実に翌年の本試験が直前に迫った頃であった。
パニック障害の原因は人それぞれであるが、往々にして「完璧主義者」「生真面目」「几帳面」といった、模範的な受験生にありがちな性格の人物に多い。まして、まーやんのように1科目を放棄せざるを得ないほどの事態に陥らないまでも、当日の緊張のせいでとれるはずの合格点が取れない…という例はきっと腐るほど、あるはずだ。
結局、まーやんは心療内科への通院を経て合格を勝ち取った。その「闘病」時期の医師との対話、及びパニック障害等に関する各種書物を通じて得た「精神管理」の方法を、会計士試験に即してアレンジしたものが、以下に整理する「3か条」である。
3か条その1 不必要な「人情」は試験会場に持ち込まぬこと
特に親孝行な人に多いのが、「お母さんのためにも、頑張ります!」というケースであろう。しかし、試験会場に他人の思いを持ち込むのは、必ずしも有効な方法ではない。いやむしろ、厳密に言えば試験問題に立ち向かっている瞬間は、自分を支えてくれた色々な人のことをいったん忘れ、ひたすら問題に集中せざるを得ない。だとしたら、試験会場の席につく時には、すでに試験問題に向けてコンセントレーションを高めることに意識を向けたほうが、ずっと良いのではないだろうか。
誤解のないように付け加えておくが、「ご両親に感謝するな」と言うのではない。むしろ大いに感謝しなければなるまい。しかし、両親も、結局のところ試験に受かるために貴方を支えてきたのだ。その想いに応えるために、「試験」そのものに意識を100%向けることは、決して不孝な発想ではないだろう。いやそれどころか、下手にシガラミを意識するあまり実力を発揮できなくなるよりも、ずっと孝行者になれる。
3か条その2 「合格」しようと思うべからず。ただ「問題に解答」しようと思うこと
本試験と当練。違いはひとつ。点数に応じて「合格」か「不合格」かが分かれるのが、本試験特有の特徴である。裏を返せば、実はそれ以外には本試験と答練には「差」はないのである。「練習は本番のつもりで、本番は練習のつもりで」という言葉は非常に有名だが、まさにその通り。
1日目の監査論を解きながら「あと4科目で合格できるな…」などと想像したり、「あぁ、もう今年はもうだめかもしれない…」と終わってもいないうちから嘆いたりするのは愚の骨頂。本試験の場でも、ひたすらに「聞かれたことに答える」ということだけを地道に繰り返せば良いのである。普段実力を蓄え続けている人は、それで合格できる。そしてそれが最良の手段なのだ。
3か条その3 「所詮うまくいかない。それでも十分」ということを肝に銘じること
まーやんの失敗談。何が一番まずかったのか。それは「監査論は得意」という観念が、解けるはずもない問題への不必要な執着を生んだことである。まーやんが解けない問題に執着している間、その問題をさっさと捨てた受験生たちが1,300人合格した。3日間に及ぶ本試験。どこかの科目でほぼ間違いなく、「おかしな問題」が出題される。過去10年くらいの出題を紐解いてみても例外はない。
テキストをしっかり憶えれば満点も夢じゃない、という答練が出される専門学校もあると思うが、本試験では全く逆。満点は不可能だが、狙う必要がない。解答用紙に空欄をいくつも作ったうえで合格するのが、会計士試験の「当たり前」なのである。うまくいかなくて良い。はじめにそのことを肝に銘じておけば、変な問題が出たときに、「ふんっ」と鼻で笑えるほどの余裕が、できるかもしれない。
終わりに
本試験は「緊張して当たり前」といわれる。確かにそれは真実だが、「緊張に対処する必要が全くない」ということではない。どうしても緊張してしまうであろう本試験に向けて、それでも何とか実力を発揮するために、どういう精神状態を作ればいいのか?事実メンタルトレーニングを取り入れている専門学校もある。マトリックスではないが「心と体はひとつ」。緊張に対処できなければ、満足に電卓も打てなくなる。
今回の特集で、自分の暗い過去を思い切って打ち明けてしまった。この特集を1人でも多くの人が、平常心に近い状態で試験に臨めるようになってくれたとしたら、まーやんの経験も大変な意義があった、ということになるのだろうか。あと1ヶ月強。皆さんのご健闘を心から祈る。
- 投稿者:まーやん
- 日時:16:36