【特集 Jun 2007】 監査法人リクルート緊急座談会

「監査法人採用準備室」管理人あかさか氏と緊急座談会を開催!

 

短答式試験も終わり、ほっとしている方も多かろう。また、短答式免除を受けている受験生の方は、徐々に迫ってきた本試験に向けて気合い十分のところかと思う。皆さんが夢にまで願った合格の瞬間は、少しずつではあるが着実に、近づいているはずだ。

しかし、当たり前のことだが合格するだけで給料が振り込まれるわけではない。合格後の就職も、実は非常に大事なイベントなのである。今年は今まで以上の「売り手市場」すなわち、受験生にとって非常に就職先を選びやすい状況になっていることは、もうすでにご存知であろう。しかし、だからと言って監査法人のパンフレットをパラパラとめくって、「なんとなく、この法人が良いような気が…」という中途半端な就職活動をしてしまうと、後々になって「こんなはずじゃ…」と感じる羽目になりかねない。就職先をじっくりと、熟考の上で決めるために必要な視点を、「日本一採用市場に通じた会計士」であるあかさか氏とともに探った。

テーマ1 「四社択一」の就職活動で良いのか?

 

首都圏某駅で、あかさか氏は定刻どおりに待ち合わせ場所に現れた。金曜の夜、人ごみの中にも関わらずあかさか氏がまーやんを迷わず見つけてくださったのは、mao管理人として徐々に出てきたオーラ…ではなくて、会計士特有の「大きなカバン」のおかげであった。
「日本一監査法人の採用市場に通じた会計士」と言っても過言ではないあかさか氏と、幸運にも談話を持つことができるチャンス。緊張しているまーやんをよそに「とりあえずビール」と店員に告げた氏は、しばしの雑談の後、徐々に本題について語ってくださった。

 

あかさか氏 ことしは随分とリクルートの時期も早くなってるよね。

まーやん ですね。新日本監査法人では短答の発表前から説明会があるくらいですし、トーマツでもセミナーを開催しています。明らかに早期化の傾向が見られますよね。ただ受験生からすれば、この時期はやはり試験を第一に考えたいところではあるみたいで、集客状況はそれほどでもないようですけど。

あかさか氏 そりゃそうだよね…。そういえばトーマツも地方では説明会がもう始まってるよね。

まーやん そうみたいです。地方事務所や中堅の監査法人はどこもPRで苦戦を強いられてしまうのはある程度仕方がないかなぁ。ある程度フライング気味で活動を開始するのも、うなずける点ではあります。

あかさか氏 確かに、東京や大都市圏に注目が集まるのは当然のことなんだろうけど、そもそも選択肢として「中堅」「地方」という発想を受験生が持たない。だからどうしても苦戦しちゃうんだよね。

まーやん 就職の情報ってどうしても大手監査法人のパンフレット等が大部分になってますもんね。どちらかというと、中堅監査法人の評判が悪いから、就職しないというのではなくて、そもそも「情報」として中堅の採用のことをもっていないというケースは多いと思います。

あかさか氏 そうなんだよね。情報を供給したいんだけど、本業も忙しくて人をそっちに回せなかったりもするし…僕のサイトとまーやんさんのサイトとが手を組めばその辺の情報もどーんと提供できちゃいそうだけど(笑)

まーやん 確かに面白いですね、そういうのも(笑)

 

 

就職活動というと、どうしても「トーマツ」「あずさ」「新日本」「あらた」の大手法人のみが選択肢に挙がりがちである。大手監査法人は、ビッグクライアントを多数抱えており、日本の資本市場のゲートキーパー(あかさか氏の表現。カッコいいでしょ)の主翼であることは間違いない。しかし、監査法人は大手だけではない。中小の監査法人もまた、新興企業を中心とした監査を通じて、わが国の資本市場の発展に大きく寄与している。にもかかわらず、採用情報はほとんどが大手法人に関するもの。もちろん結果として大手法人を選択するということも正解のひとつだが、その決断を前に、そもそも十分な情報が共有されていないのは確かに問題がある。ちなみに、大手監査法人についても、全国各地に事務所を構えており、採用も多くの場合各事務所が独自に実施しているという事実も、あまり知られていない。

 

 

あかさか氏 いやでもね、東京の監査法人だって、就職するのに本当に大事な情報はほとんど提示されてないと思うよ。

まーやん 一口に大手、といっても、クライアントの違いとか、雰囲気の違いだけではなくて、「監査に対してどういう姿勢で臨んでいるのか」とか、そういう点のアピールが足りないですし、受験生としてもそういう点を考えようがない、というのはあるのかもしれません。

あかさか氏 うん。その通りだと思う。思い切って言っちゃうと…「よくこんなので就職先を決められるよな~(笑)」というくらい、就職の際の意思決定って荒っぽいですよね。

まーやん そう思います。一般事業会社に就職するような人たちと比べて、就職活動に割く時間も、入手する情報も著しく少ない。確かに受験生からすれば最も心配なのが「合否」でしょうけど、だからと言ってこれから先の人生を預かってくれる就職先を選ぶ方法としては、かなり不十分といわざるを得ないでしょうね。

あかさか氏 うん、極論かもしれないけど…何もやってないに等しい(笑)たぶんね、「何とかなる」っていう思いが根底にあるんだろうけど、今監査法人も色々と問題が起こっている時期だし、そういうことにも気を配らないと後悔するんじゃないかなぁ、って。

まーやん 07年はまだ、就職に関する情報もかなり積極的に監査法人が提供するからましなのかもしれないですけど、私が合格した年は、合格発表後に東京の監査法人の面接があって、専門学校の祝賀会のときに「ねぇ、どこの法人にします~?」なんて感じで(笑)慌てて就職先を決めてましたよね。しかも就職して数日で希望部署を決めるんです。「○○部門は残業が多い」とか、「あそこの部署はタテ社会だ」とか…真偽すら定かじゃない部分で働く法人や部署を考えなきゃいけない… 冷静に考えるとかなりおかしいですよね。

あかさか氏 まぁ今年は情報量は多いとは言っても…それをちゃんと利用できるかは受験生にかかってるわけでしょ。今は試験に一心になってもらうとして、試験が終わったらじっくり考えるべきだと思うよ。

まーやん まして今年みたいな売り手市場の場合はそうですよね。選択の余地がたぶんにあるということは、熟考の上で就職先を決められる、という点で非常にうらやましいものがあります。

あかさか氏 そうだね…。単純に「与えられる情報」だけで処理しようとする受身の姿勢だと、本当に「四社択一」の就職活動になっちゃう。結果としてどこかの就職先を選ぶのは当然なんだけど、そこまでの過程がスッポリ抜けてるよね。

 

 

「就職超氷河期」と呼ばれる時代はもう過去のものとなりつつあるが、それでも一般事業会社に就職を希望する学生のほとんどは、会社四季報や採用情報サイト、大学のガイダンスなどをフル活用している。それに比べると監査法人への就職は、まさに「おきらく」といわざるを得ない。
就職活動に本腰を入れるか否か、という観点は、そもそも需給バランスの良し悪しに左右されるべきものではなくて、「いかに自身の将来を真剣に考えるのか?」という点に帰着するべきではないか、とまーやんは思う。上記の通り、監査法人の採用に関する情報の提供は、多くの場合「うわべ」だけのものと感じざるを得ない。とはいっても、知人から得た情報や専門学校等が主催する説明会など、就職している会計士と直にコンタクトを得る機会はあるし、最低限の配慮として、採用情報サイトには問い合わせ用のメールフォームも用意されている。積極的に情報収集を図る姿勢は、ことのほか重要である。

 

テーマ2 スキルアップを実現できる条件とは?

 

就職活動の「情報収集」がまずは大事だ。それが「テーマ1」でお伝えしたかったことである。
でも実はそれ以前に、「自分はどんな職場で働きたいか?」ということを、決めておかなければならない。闇雲に情報収集をしても、それは「活きた情報」とならないからだ。就職で重視する点はさまざまであろうが、やはり考慮に入れておきたい事項は「いかに自分の能力を磨くことができるか?」という点ではないだろうか。

ビールを何杯か飲み、緊張がほぐれ…を通り越していささか気分が良くなってきたところで、あかさか氏に「スキルアップ」を切り口にした職場選びについて、引き続き語っていただいた。

 

 

まーやん 受験生にとっては意外だと感じることが多いようなんですけど、実は小所帯の事務所って、スキルアップという点では有利じゃないですか?

あかさか氏 うん。それはある。

まーやん 特に、大所帯の監査法人の場合、1年目で受け持つ科目とか、2年目で受け持つ科目とかって…ある程度横並びで決まってるじゃないですか。そういうのよりも、ある程度早い年次でも一通りの監査を覚えられる機会というのは…

あかさか氏 いや、必ずしもそういう機会がある中堅監査法人だけじゃないよ。むしろ大手よりじっくりやらせるタイプのところもあるくらいですよ。

まーやん そうなんですか?

あかさか氏 うん。ただ、その仕事に対するフォローっていうのかな、上の人がいかにその仕事を評価して、フィードバックしてくれるか?というところが大事な気がしてる。

まーやん 確かにそうですね。

あかさか氏 だってそうでしょ。「1年目でも売上を担当してもらいます」と言っても、本当に丸投げするだけの事務所だとしたら…やっぱりスキルアップというのはできないわけじゃない。だから「1年目で売上・2年目で引当金や税金もドンと来い!」なんていう売り文句を書いている中堅監査法人もあるけど、それだけでスキルアップには直結しないということ。そういう意味では、おかしな売り文句だと思う。

まーやん 突き詰めていくと「人」になるってことですね。

あかさか氏 そうだね。監査法人って労働集約的なところでしょ。人が一番大事なのは当然だよ。「いいクライアント」そして「いい同僚」に恵まれるかどうか、だよね。

まーやん そうなると、自分にとって最適な職場を選ぼうとしたときに、残念ながら運の要素もかなり絡んできちゃいますね…。

あかさか氏 確かにどんなクライアントに当たるか?という点ばっかりは、就職してみないと分からないよね。それに加えて、大手の場合は「どんな人が自分の上で働いてくれるのか」という点がまったく分からないから、かなり運否天賦ではある。小さいところはそっちの危険は少ないけどね。

まーやん 実は私が就職先を地方に選んだ最大の理由が「この人たちとであれば、一緒に働いても良いな」という思いがあった点でした。

あかさか氏 うん。就職前にかなりの人と接触できるというのは地方や中堅監査法人にとっては強みかもしれないね。あと、さっきの仕事の受け持ちの話に戻っちゃうんだけど…小所帯のところってクライアントを業種ごとに分けて、それに特化させていくような割り振りってできないでしょ。そういう意味では幅広い仕事はできると思うね。まーやんさんも、色んな仕事してるでしょ?

まーやん 私の場合は、監査といっても「ゼネコン」「金融業」「学校法人」とか、業種がかなり幅広いですね。

あかさか氏 中堅監査法人だと、クライアント自体が若い会社が多かったりもするので、結果として上場支援が多くなったりするケースはあるよ。

まーやん 業種のバラエティも、私のいる地域だと製造業が多いですが、地域東京の中堅法人だとサービス業が多いみたいですね。

あかさか氏 そうそう。地域によって当然企業の特色もあるでしょ。そういう視点から就職先を選ぶのって有益なはずなんだよね…。

まーやん 例えば、地方事務所までブレイクダウンして「上場会社の監査法人リスト」みたいなのを作ったら、かなりリクルート上役立つということですか?

あかさか氏 うんうん。そういうことだよね。東京にしても、どの部署が担当している会社さんなのか…とかね。

まーやん どうです、あかさかさんのサイトで作ってみては?(笑)

あかさか氏 いやそこまでは追跡できないし…できたとしてもそんな作業してたら死んじゃう(笑)。

 

インターンシップ等、特別なイベントを行っている事務所を除いては、上で話題にのぼった「人」との接点を下に就職先を選ぶのは、残念ながら難しい。しかし、喫茶店を貸切にして受験生を呼び集めるというユニークな試みをしているトーマツのような例もあるし、身近な会計士にちょっとした「裏話」を聞くことによって、ある程度の推測を立てるくらいのことは可能なのかもしれない。
また、インターンシップ等に参加することによって、監査実務そのものを体験してみたり、受験勉強と実務の違いや共通点を知っておくことは決してマイナスにはならない。監査法人の催すイベントは、積極的に活用すべきであると思う(maoのサイトでも適時告知を行います)。

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