【特集 Apr 2007】 短答式試験マルハダカ 前編

迫る!短答式試験  ~合格を勝ち取るために~

いよいよ短答式試験が迫ってきた。
不安、あせり、プレッシャー…色々な感情と戦いながら、日々必死に勉強をし て過ごしていることと思う。短答式受験者は約15000人。合格して論文式に進めるのは、残念ながら3分の1 にも満たないかも知れない。たとえ、模試で全国1位をとっていても、自分を 見失って不合格になる可能性は決して少なくない。本試験はまさに魔物。思い 通りにはいかないものである。

しかし、だからこそ、短答式試験を万全の状態で迎えるための準備が欠かせな いとまーやんは考える。

mao特集第1弾「短答式試験マルハダカ」では、短答式試験の分析、そして対策 の考察を行っている。
新試験制度に変わって2度目の試験であり、不確実な部分は多いが、それでも 読者の皆さんの参考になれば、幸いだ。

テーマ1 短答式の門戸は広がったか

昨年より公認会計士試験制度が変わり、短答式試験は5月の最終日曜日と6月の第1日曜日に実施されることとなった。問題数も、科目構成も大きく変わり、受験生を悩ませる要因となっていた短答式試験であったが、ひとつだけ受験生にとって喜ばしかった変化が、「合格者数」であった。

従来の公認会計士第2次試験では、短答式試験は上位3,000名程度を選抜し、論文式試験の受験者数を一定に維持する目的で設けられていた。受験者数の増加に伴い、当然競争率は上昇の一途。最も厳しかった2004年の短答式試験の合格率は実に20%を下回った。

ところが、2006年の短答式試験の合格者数は、なんと5031人。合格率は31%にも及んだ。短答式試験に苦手意識を抱く受験生は多いが、従来であればボーダーラインマイナス1問、というところで涙をのんだ受験生が、1500人救われた形となった。意外と多数派を占める「短答式さえ合格できれば、論文式は自信がある」という受験生にとって、まさに天助の結果といえただろう。

さて、問題は今年。2007年の合格者数がどのように推移するか、である。

「短答式の門戸が広がりました!チャンス到来!」という見出しで受講生をひきつけるパンフレットを作っている専門学校も多いが、今年の短答式試験の合格者数が、昨年同様5000人を上回るかどうか、という点について、まーやんは若干懐疑的な立場をとっている。
試験制度が変わったとはいえ、論文式試験の受験者数を一定の水準に維持する、という短答式試験の機能は今までどおりである。そこで考えなければならないのが、昨年まで存在しなかった「短答式試験免除者」の存在だ。
昨年の論文式試験合格者(会計士補除く)は1372人。裏を返せば、論文式不合格者3659人は、今年の短答式試験の免除を受ける権利を持っていることになる。もちろん、去年以降、受験以外の道を選択した方もいるだろうから、この全員が論文式試験に加わることはないだろう。それでも、これだけの免除資格者がいて、なおかつ短答式試験の合格者数を昨年同様の水準に維持するとなれば、論文式試験の受験者数は1万人を超えることになる。

一方で、合格者数は昨年と同程度であろうと考える方も多い。その根拠が、「採点制度の改正」である。論文式試験の採点は、試験制度の改正を機に、いわゆる「分担方式」にシフトしている。
旧来の第2次試験では、試験委員それぞれが全員の答案を採点する方式をとっていたことが推測されているが、新制度では、試験委員が分担して採点を実施する旨を公認会計士・監査審査会が明言している。そのことにより、合否判定が素点ではなく、偏差値を基準とするようになった点は有名であるが、何より注目すべきは、採点負担の軽減を意図したこの採点方式の改正が、採点可能な答案の枚数の増加、すなわち論文式の受験者の増加を可能にするという点である。

受験生の皆さんにとって、少しでも合格者数は多いほうが良い、というのは当然の思いであろう。しかし、上述の通り、短答式試験の合格者数は、もしかしたら昨年よりも少なくなるかもしれない、との予測があるのも事実。やはりここは、合格者が少ない場合を想定して、しっかりと得点力を養うという点に集 中することが、最善の策ではないだろうか。

結論:昨年の合格者増を安易に真に受けるべきではない。十分な得点力を養う ことに、チカラを注ごう。

テーマ2 より「確実」なチカラを。


さて、合格者数の予想はこの程度にして、対策をいかにたてるか、という話を してみよう。

先にポイントだけ列挙することにする。まだ1度しか実例のない新制度での短 答式試験ではあるが、これらのポイントをおさえなくして、合格はありえない と断言できる3か条である。

・難問の正答を増やすより、易問の誤答を減らせ
・やはり、計算科目が大事
・理論科目は「基準暗記」だけでは勝てない

まずは3か条をしっかり頭にいれて欲しい。その上で、以下の補足を参考にし ていただきたい。

・難問の正答を増やすより、易問の誤答を減らせ

新制度の短答式と旧2次試験の短答式とで何が変わったか?を端的に解答する とすれば、ズバリ「ごまかしが利かなくなった」という点であろうと思う。5 科目をいっぺんに3時間で解く旧2次試験の短答式と異なり、各科目ごとに試験 時間が割り当てられていること、そして何より、旧試験よりも問題数が増加し ていることがその理由である。
簿記を例に挙げれば、旧2次試験の短答式試験では、商品売買、金融商品、固 定資産、連結会計、仕訳問題等が常連の問題であり、残りの5問を本支店、建 設業、キャッシュフローといった構造論点や、配当限度額、一株あたり損益等 の各論から適宜選択して出題するというのがオーソドックスなパターンであっ た。
しかし、問題数が40問になり、しかも20問以上が計算問題で占められる、 という新制度の試験では、先ほど挙げた「非常連」とも言うべき論点から、「 常連・準常連」に格上げされる論点もかなり増えることが予想される。単元ご とに好き嫌いがあるような受験生は自ずと淘汰されてしまう試験へと変わった と言っても良い。

このような状況を踏まえると、何よりも優先されるのは「苦手分野の克服」で あることが分かる。苦手分野を一つ残せば、ほぼ間違いなく、短答式試験では 1問を取りこぼすことが確実となってしまう。問題数が増えた以上、「どうせ この論点は出題されないだろう」という分野が少なくなるのは、自明の理であ ろう。
裏を返せば、苦手分野を一つ減らせば、かなりの確率でもう1問を得ることが できるということでもある。少なくとも、苦手を放置してしまったがゆえに、 それほど難易度の高くない問題を落としてしまう、といった事態だけは避けな ければならない。得意な分野に特化して埋没に近いような高度な問題を演習す るよりも、遥かに合格に近づけるアプローチである。

・やはり、計算科目が大事

ところで、2006年の短答式試験の財務会計論は、40問中25問が計算問題という 若干アンバランスな配分がなされていた。しかし、このような状況は、当然の ことながら計算科目に重きを置いて学習をしてきた方にとってプラスに働く。 それは、単に問題数の比率の問題ではなく、計算問題と理論問題との、試験中 の「手ごたえ」の差によるところが大きい。
すなわち、計算科目は、「自分が解けた、と思った問題はほとんど正解」であ り、「自分がダメだ、と思った問題は間違いなく×」であるというように、自 己評価と実際の採点結果が近似しやすい科目なのである。簿記が得意な方であ れば、昨年の25問のうち、自分が何問正解できているか、ということが自信に なり、残りの科目にも弾みをつけることができる。逆に、簿記が不得手な方は 、自分が何問正解できているかということが不安を呼び、理論問題でもその不 安を引きずってしまう。

計算科目を重視するという論陣には、「他科目とのシナジー効果」とか、「他 科目より習得に時間を要する」とか、様々な論拠が挙げられており、どれも一 応の合理性はある。それらに加えて、今回紹介した「手ごたえの差」というこ とを意識していただくことが、直前期の学習をバランスよく行ううえで、こと のほか重要になると思われる。

・理論科目は「基準暗記」だけでは勝てない

他方、理論問題もやはり旧試験とは趣が異なっていた。

最大の違いは、「問題文が長くなった」ことである。
メルマガで過去問を扱う際、できるだけ平成18年度の試験から出すようにして いるが、その最たる理由が「問題の長さになれて欲しい」という点である。 問題文が1行長くなるだけで、肢の正誤の判断はかなり難しくなる。受験生に とって疑心暗鬼を誘うような記述が、それだけ増えることになるからだ。長文 化傾向になれるためには、やはり日々の反復が最も有効だと思う。専門学校の 答練の問題文が短い、と感じるのであれば、一度で良いから過去問を解いてみ ることをオススメする。

そして、理論科目もやはり、問題数が増えた。そして当然、出題の幅もそれに 応じて広がることとなった。
特に、理論科目は単純に会計基準や監査の基準から出題するというスタイルの 問題のほかに、制度の趣旨をしっかりと把握できているかどうかを問う問題も 増加しているように思われる。ただひたすら会計基準を頭に叩き込む、という 作業も必要な面はあるが、残念ながらそれだけでは足りない、というのが平成 18年の試験であったし、今年もその傾向は維持される可能性は高い。

ただ、日ごろメルマガで紹介している通り、理論科目のトリックは比較的パタ ーンが定式化している。基準関係の出題はどうしても記憶の多寡が勝敗を分け る面が多いが、そうでない純理論の問題は、比較的単純に解けてしまうケース も多いようだ。むしろそのような問題が出題されたときに、形式的な記憶に頼 る学習をしている受験生は苦戦を強いられるので、これもメルマガで口すっぱ く書いている通り「有機的に暗記する」ということを心がけて欲しい。

特集第1弾は短答式試験の分析を実施した。第2弾は短答式試験の実践編。試験 当日と試験後の過ごし方に、焦点を当ててみようと思う。

にほんブログ村 資格ブログへ

trackbacks

trackbackURL: